クサカベ画溶液を使って油彩画の表現ができるようになったら今度はワンランクアップの表現方法を見ていきたいと思います。
光沢を出したり絵具を重ね付けして透明感や重厚感を出す表現で、作品の印象は大きく変わります。やり方はそれぞれありますが、一例として参考にしてくださいね。
光沢の出し方
画面の光沢感は油彩画らしい重厚感がありますね。画面に光沢を出すには制作段階で使用する画溶液の種類はそれぞれ異なります。
中描き
徐々に乾性油を使いますが、この時に「スタンドオイル」を少しずつ混ぜていきます。
仕上げ段階
スタンドオイルやベネチアテレピンをテレピンなどの揮発製油に混ぜながら使いましょう。仕上げ前に加工乾性油を混ぜすぎると上にのせる絵具をハジいてしまう可能性があります。
完成後
最後に柔らかい刷毛などでスタンドオイルを少量のテレピンで薄めて筆運びをよくしながら、1~2回画面の表面を傷つけないように塗ります。
刷毛跡が残って気になる場合はベネチアテレピンを混ぜるといいですよ。時間経過と共に黄変の可能性があるので注意しましょう。
グレーズを重ねる方法
グレーズとは薄い色を重ねることで画面に立体感や深みを与える重ね塗りの技法をいいます。
描き始め〜中描き
描き始めから中盤くらいまで、画用液はほとんど使わずに絵具のみで描きます。絵具ののびをよくしたい場合は、少量のテレピンで絵具をのばして使います。
完成になってきたら
作品がある程度形になってきたらはじめるグレーズの方法としてはごく少量の絵具を多量のグレージングバニスでのばし、柔らかい筆で薄く画面にかけます。表面が指で触って乾燥した状態から何層も重ねることが出来ます。
左の作品は「グリザイユ技法」といい、モノトーンカラーの絵具で画用液をほとんど使わずに描き、その上から極薄く4~5回グレーズを重ねたものです。
何層も色を重ねると絵に深みが出るし、滑らかな透明感や立体感も感じるね
テンペラと油絵具の併用
油絵具で描いた作品の上にテンペラ(混合技法)絵具をのせると、発色や絵具ののびの違いで表現の幅が広がります。テンペラは油彩絵具が主流になる前の中世ヨーロッパで用いられた古典的な絵画手法です。
テンペラ絵具
油絵具はツヤがあって伸びがよく、色に深みがあるのに対してテンペラ絵具は明るい発色で光沢が少なく、硬さのある表現となります。油絵具が指で触って乾いている状態で、上からテンペラ絵具をのせます。
テンペラ絵具はイギリスのデーラー・ラウニー社製品の「エッグテンペラ」(チューブタイブ)を使用するか、自分で作ることもできますよ。また、クサカベでは油絵具 体質 というチューブタイプの練り合わせ剤があります。
テンペラを手作りする
卵から絵具を作る場合の一例を紹介します。
材料は新鮮な卵黄と練り合わせ剤の2つがあればOKです。
①卵黄を指でつまみ、針のようなもので穴を開け、中味を取り出します。(卵黄には薄い膜があり、それを取り除きます)
②取り出した卵黄の中味に練り合わせ剤(混合用技法画用液)をティースプーン2~3杯程度少しづつ加え、よくかき混ぜます。
③マヨネーズ状になったら、ティースプーン一杯程度の水(酢)をスポイトなどで一滴づつ加えてかき混ぜます。
④黄身と油と水(酢)が馴染んできたら、最後にスプーン1~3杯の水(酢)を入れてメディウムは完成です。あとはこのメディウムと顔料を1:1程度の比率で混ぜながら絵具を作ります。
金箔の貼り方
金箔を入れると作品がいっそう華やかに、より存在感のある作品になります。表面の絵具がまだ乾いていない場合は、画用液は何も塗らずに絵具の上に直接金箔をのせて下さい。
画面が完全乾燥している場合は、金箔を貼りたい箇所にコーパルペインティンググオイルを刷毛などで塗り、少し乾燥させて表面がまだベタベタしている状態で金箔をのせましょう。
金箔の扱い方
①適当な大きさに切った紙(薄い紙なら何でも)にロウソクを全体にまんべんなくこすりつけます。
②紙にしっかりとロウソクが付着したら、金箔の上に空気が入らない様にそっとかぶせます。
③金箔が紙にしっかりと貼りついたらはさみで金箔を自由な形に切ります。
④そして切った金箔付きの紙を画面に貼れば簡単に作品に応用出来ます。
ひと手間の工程で作品に金箔の輝きを与えて、より特別な印象の作品に仕上げよう