油彩画を制作する際に用いられる画溶液は、選び方や使い方次第で作品の仕上がりが大きく変わってきます。画溶液には絵具ののびを良くしたり、乾燥速度の調整や、画面を保護する役割など、さまざまな効果や目的を担っています。
でも、使い方を間違えてしまうと、作品がひび割れたり、変色したり、せっかくの作品が台無しに…そこで、最低限知識としておさえたいという画溶液をご紹介したいと思います!
今回注目したのはホルベイン
ホルベインは100年以上続く老舗の画材専門メーカーです。アクリル樹脂絵具「アクリリックカラー」や豊富なカラーチャートの油絵具「Holbein Artists’ Oil Color」はじめ、初心者から専門家まで幅広く使える画材を提供し続けています。そんなホルベインの画溶液を詳しく見ていきましょう。
絵を描く時に使用するオイル(ペインティングオイル)
絵具と合わせる溶き油は制作工程で量の調整が大切です。大きく5つの種類に分けられます。
1 乾性油
絵具の伸びや、のりをよくし、キャンバスへの定着率をより高めてくれます。油彩画らしい、ツヤツヤとした透明感が出ます。
描きはじめは揮発性油の量を多め、乾性油は少なめの混合比にし、描き進むにつれて乾性油の割合を増やしていきます。
▶︎ホルベイン 画用液 ポピーオイル
2 揮発性油(溶剤)
乾性油の調整で使うほか、粘性や濃度の調整、乾燥の促進としても使えます。
乾性油とは反対に固着成分は含まれていないので、画面の耐久性を損なわないように量を調整します。画面のツヤ感はありません。初期段階の下描きで使用することが多いです。
ちなみに、揮発性油はなかにはラベンダーを原料とするいい香りのものもありますよ。
▶︎ホルベイン 画用液 スパイクラベンダーオイル
3 樹脂溶液
絵具のツヤ出しや保護の役割、また接着剤として使われることもあります。
樹脂用液は揮発製油と調合されていることが多く、そのため揮発性の溶液は空気中に逃げてしまい、乾燥が早いのが特徴です。
ダンマルガムをテレピン(ターペンタイン)あるいはアルファピネンで溶いた樹脂溶液などがあります。
▶︎ホルベイン 画用液 ダンマルワニス
4 乾燥促進剤
油絵具の性質を保持したまま乾燥を速めることができます。
乾燥促進剤はツヤのあるタッチからマット感のあるタッチまで、さまざまな種類のものがあります。

乾燥後の画面は使う乾燥促進剤の種類によって仕上がりが異なるよ
5 調合溶き油
1〜4の油を紹介しましたが、それぞれ使い分けするのが大変ですよね。そこで、使い分けしなくても描きはじめから完成まで1本で使えるのが調合溶き油です。
乾性油と揮発性油を調合し、乾燥を早めるリンシードオイルが含まれており、広範囲に使いやすいので初心者におすすめです。
描きはじめにもっと柔らかくしたいときは揮発性油を加えます。
▶︎ホルベイン 画用液 ペンチングオイル

油の量を間違えずに済むから絵具を扱いやすくて安心ね
作品仕上げに使うオイル
ワニス(バーニッシュ)
ワニスの綴りはvarnishなのでバーニッシュとも読みます。画面にツヤを出しながら保護する樹脂です。完成後に作品の保護用に使用する以外にも、例えば下記のようなケースで使えます。
・絵具に混ぜながら光沢の調整
・画面全体の光沢を調整
・完成後、作品の加筆用に使用
どうしてワニスを制作過程で使用するのか、目的はさまざまあります。
例えばツヤの異なる絵具の使用し画面全体を見ると、ムラができてしまうことがあります。ツヤの印象の違いで色のバランスが崩れないように、画面のツヤを統一し、完成の印象に近いままで制作を進めることができますよ。

絵画が完成して、最後に塗るワニスをタブローとも呼ぶよ

ワニスはスプレータイプもあるから使いやすくて便利よ
筆の掃除や絵具を剥がすオイル
筆などを洗う時に用いるブラシクリーナーや、パレッドなどに定着してしまった絵具を剥がす専用の画溶液があります。
▶︎ホルベイン オドレス ブラシクリーナー
▶︎ホルベイン エコ リムーバー (固化絵具除去剤)
まとめ
いかがでしたか?画溶液の名前は覚えにくいし、見た目が似ているから本当に分かりにくいですね。画溶液の種類は大きく分けて、
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絵を描くとき
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作品の保護用
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筆を洗うなどの片付け用
と3つあることをまずはおさえてくださいね。それぞれの画溶液の適切な目的と使用タイミングを考慮しながら、納得の仕上がりで作品を進めましょう。