みなさんこんにちは!ゆめ画材のブログにようこそ。
今日は、マンガ制作の用語集 表現技法②<ハ行~ワ行>をお送りします。
マンガ独自の表現技法とはどんなものがあるのでしょうか。
<ハ行>
パース
マンガに限らず絵画や図形の制作で必要になる「遠近法」のことです。遠近法とは、遠くのものは小さく描き近くのものは大きく描くことで実際の視覚のように遠近感のある表現ができる技法のことです。どこに視点があるのか(アイレベル)を定めます。
背景、バック
マンガ制作の上での背景とは、「景色、風景」と「背景効果」があります。(※背景効果を参照。)
景色や風景を描くことは、ストーリーの中で臨場感や説得力を持たせる効果があります。
キャラクターがどんな世界観の中にいるのか、どんな生活をしているか、どんな場所を目指しているのかなど時にはセリフや説明以上に物語ることができる要素となるでしょう。
また、架空の世界など独自の背景は作り手側が読み手を好きな場所に引き込んでゆくことも可能なのです。映画などではたいへんな時間と労力、人員をかけて作られる舞台背景も、想像力/創造力で紙面上につくり出せるというのはマンガならではといえるのではないでしょうか。
マンガ制作の中で「背景」の作画は時間も画力も要するのでむずかしい作業の一つかもしれませんが、マンガ制作の上でのハードルと感じる必要はないので安心してください。
上記のような版権フリーの素材などもあり、コピーをして切ったものを原稿に張り付けて使用できます。
ハイライト、ホワイト(ホワイトを入れる)
マンガ制作の上でのハイライトとは、仕上げの段階で白色のインクや修正液などを用いて瞳の中の光や毛髪のつや、または衣服のしわ、夜空の星などを表現する方法です。
この作業や白色のインクは「ホワイト」とも呼ばれます。
引き
ストーリーが続くドラマやアニメなどでクリフハンガーという、視聴者に「続きが気になる」と思わせる表現方法があります。
マンガ制作においても思わずページをめくりたくなる仕掛けとして、この「引き」の表現をうまく活用することがたいせつです。
「読みだすとつい止まらなくなる」、そんなマンガにはストーリーの面白さだけでなくこの「引き」の表現が巧妙に用いられています。
(※セットとなる「めくり」の項も参照)
吹き出し、ふきだし、フキダシ
風船のような形の枠の中にセリフやモノローグ、ナレーションや心理描写を書き入れるものです。会話のテンションや心の中で思っていることなど、形を変えてバリエーション豊かに表現が可能です。コマの中での位置や大きさ、描写の効果によって場面の雰囲気を印象付けることができるツールでもあります。
ベタフラッシュ
集中線とベタ塗りを合わせて用いる(集中線のバックをベタ塗りします)ことで集中線の先をさらに強調します。
何かを発見した、謎が解けた、まさかの事態が起こった、衝撃の事実を知ったなどの表現に使用することができます。
変形コマ
コマ割りの基本は長方形や正方形のような直角の枠を使用します。場面の盛り上がりやインパクトを表現するために直角ではない枠のコマを使用することもあります。これを基本からの変形として変形コマと呼びます。
<マ行>
見開き
製本された書籍や雑誌などでページを開いたときに対になる左右のページのことを指します。マンガ制作の際には二枚の原稿を繋げて描きます。もっとも印象的なシーンや情景を表現する際に有効です。
原稿の繋げ方には印刷指定に沿った決まりがありますので、作品を印刷したり投稿する際などにはあらかじめ見開き原稿の繋げ方を確認したうえで作画を行うと良いでしょう。
めくり
「引き」の表現で読者の心を引きつけたら、その次に必要なのはリアクションです。「なんだろう」「次はどうなるのだろう」「謎の人物の正体は?」などに対する答えを描きます。
「引き」と「めくり」をうまく使うことでストーリーの流れに緩急をつけより魅力的な作品となります。
モノローグ
本来は演劇や戯曲において登場人物が心情などを独り言のように語る台詞、演出のことを指します。マンガ表現の中のモノローグは登場キャラクターの心情の表現にとどまらず時には読み手とマンガ作品をつなぐシナプスともなり得るでしょう。
マンガを読んでいる間その世界観にどっぷりと浸かったという経験があるでしょうか?いつの間にか登場キャラクターの抱える思いと同調していたということはあるでしょうか?
巧みなモノローグ表現は、読み手を作品から離れた第三者の視点ではなくあたかも作品世界を体験しているかのような当事者への視点として引き込む力も持つのではないでしょうか。
モブ、モブキャラ
元々は英語のmobから来ている言葉で、群衆などの意味があります。マンガ制作においてのモブ、モブキャラとは主な登場キャラクターではない背景に近い存在です。ドラマや映画のエキストラにも近いですね。
モブキャラは名前が明かされないことがほとんどで、場合によって顔の描写も曖昧であることもあります。街や駅にいるような背景に近いモブから、登場キャラクターの友人の一人など近い存在でありながらほとんど登場しないキャラクターなどに用いられることも。モブキャラクターの存在感を抑えることで主要なキャラクターを目立たせる効果もあります。
<ラ行>
レタリング
広義では文字の形などをデザインし絵のように描くことを指します。
マンガでは単行本の表紙や背表紙などに、独自のフォントで描かれたタイトルを目にしたことはありますか?
近年では描画ソフトなどを使用してデザインされているものが多いですが、ソフトが使用される前はそれらの特殊な文字やフォントも作者やデザイナーの手によって描かれていました。独特なレタリングを作品に使用すれば、レタリング表現だけで個性的な作品を描くことも可能でしょう。
流線
※用語集 表現技法編①のスピード線を参照。
<ワ行>
枠線
近年ではマンガ専用の原稿用紙も豊富で、そういった専用用紙には印刷指定や製本の為の線があらかじめ引かれていて、その線の種類と意味さえ覚えれば簡単に印刷用のマンガを制作することができるようになっています。
専用の原稿用紙にあるそれらの線の総称を「枠線」と呼びます。
先ずは一番内側にある「内枠(うちわく)」を覚えておくと良いでしょう。この内枠の中に漫画が収まっていれば、製本の際に絵や文字が途切れてしまったり見づらくなるという心配はありません。
内枠は基本線とも呼ばれます。
マンガ制作の表現技法はいろいろあるけれど、手軽に使えるツールがゆめ画材にはたくさんあるよ♪ぜひ楽しみながら挑戦してみてね。