レザーは長持ちしますので使ううちに味が出てきて手放せなくなりますね。レザークラフトなら好みのデザインで技法やアイテムによって無限の可能性があります。とはいえ本格的な道具が必要そうだし、敷居が高いイメージがあるかもしれません。初心者はまずはワークショップで体験してみたり、道具なしで手軽に始められるキットがおすすめです。
そこで、レザークラフトの基本的な知識を見ていきながら、初心者の筆者が実際にワークショップで体験した様子をお伝え致します!
レザークラフトの魅力とは?
レザーアイテムの魅力はなんといっても革の質感です。温かみのある柔らかい感触に、皮らしい匂い、使うほど馴染んできて色や質感に味が出てくるので愛着も湧きます。長持ちしますので、風合いの変化を楽しみながら、大切に小物を使い続けたい人にはぴったりの魅力的な素材です。
既存の製品を選ぶのもいいですが、色々な本革を自分好みで選んで作れるのもレザークラフトの醍醐味です。
野球やソフトボールで使用するグローブも革です。硬い革も愛用するうちに心地よい柔らかさになった記憶がある人もいるのではないでしょうか。
本革の種類はたくさんある?
材料のメインとなる本革は「皮」と「革」の2種類あります。漢字の違いではなく意味があり、
・革…加工されているもの
レザークラフトで使われるのは革ですが、加工の工程で柔らかさ、硬さ、厚さを調整するため色や質感を選ぶことができます。
財布やチャームなど、作りたいアイテムによって適した革を選びます。たとえば糸を使って縫い付けたいときは1.5mm~2mmの厚さなら初心者でも穴を開けて使用できます。
基本的なテクニック
それではレザークラフトならではの基本的な技法を4つお伝えします。ワークショップなどでも体験できますが、専用の工具を使って叩いたり好きな図案を表現するなど、さまざまな工程を楽しめます。
穴あけ&手縫い
あらかじめパーツの両面に接着剤を塗布し、その上から縫い合わせる技法です。
ゴム板上でヒシ目打を垂直に立て、木槌で数回叩いて菱形の縫い穴をあけます。
ロウ引きした糸の両端に針を2本セットします。縫い穴に糸を通して両手に針を持ち、両側から同じ穴に糸を通して手縫いしていく技法です。
スタンピング
様々な絵柄の刻印を使って、革を装飾していくスタンピング。
刻印を叩くというシンプルな作業は子供から大人まで楽しめ、染色などの他の技法とも合わせられます。
革を水で均等に湿らせ、刻印がぶれないようにしっかり支え、ゴム台の上で革に垂直に当てて叩きます。
消音用に作業用フェルトを敷くこともおすすめです。
模様が打刻できました。色々な刻印の組み合わせで個性が出せます。自分なりの組み合わせを考える時間も楽しいですよ。
カービング
革に切り込みを入れ、刻印を打って立体感を出すカービング。唐草模様をはじめ、動物やイラストなど、好きな絵柄を表現できる楽しみと、技術を追求できる奥深さが魅力です。
革を水で均等に湿らせます。図案のアウトラインをカットして、革の厚みの途中(1/2~1/3くらい)まで切れ目を入れます。
刻印で立体感を出していきます。画像は切れ目の外側を斜めに凹ませているところです。これだけでも切れ目の内側が浮き上がり、立体的に見えます。
染色
染料や顔料を使って、好みの色に変えられるのも革の魅力です。全体を均一に染めたり、一部分をぼかしたり、色を差すことによって革に様々な表情が生まれます。
染料やアクリル絵の具を使えば、革に色を付けられます。刻印と組み合わせても良いですし、染色だけでもグラデーションやマスキング染めなどの多彩な表現ができます。
全体を均一に染める方法です。まず革を水で均等に湿らせます。水で薄めた染料を塗ります。5~10倍くらいに薄めておくと、染めムラを防げます。染料は好みの色に混色できます。
縦横斜めと刷毛の向きを変えながら染めていき、好みの濃さまで重ねます。他の色を上から重ねて、色合いの調整もできます。
レザークラフト体験に挑戦!
まったくの初心者の筆者ですが、とりあえず体験してみたく、ワークショップに参加しました。
参加したのは新日本造形主催の美術教材フェアです。
材料を用意してもらえるので、手ぶらで初心者も楽しめます。専任スタッフ指導のもと制作できるから安心です。小学生低学年くらいのお子さんから参加も大丈夫で、制作時間の目安は1時間くらいです。
使用した材料
ワークショップ体験で使用した材料はこちらです。
・フェルト…ゴム台の下に引くと音や振動の軽減に
・木づち…刻印や道具を傷めずに打ち込む軽量タイプ
・クラフト染料(赤・青・黄・緑・黒・茶)
・レザーコート…光沢に仕上がる仕上げ剤
・刻印棒…文字や絵柄、マークなど様々な種類
・皮革素材(練習用・本番用)
・染料用の筆とパレット
・スポンジ…水で革を濡らす
まずは練習
いきなり本番ではなく、練習用の材料も用意してもらえました。最初は失敗してしまいそうなので助かります。スポンジに水を含み均等に湿らせてからはじめます。
木づちも刻印棒も初めてですが、力具合や模様の入れる位置に迷うところ。スタッフに優しく教えていただき、和やかに制作できます。下がきはなく一度入れた刻印は消せないので、完成イメージを固めてから挑むと良さそうです。
本番!刻印棒で絵柄作成
左の作品は練習用の作品です。少し慣れたところで、好きな形の革を選んで次は本番です。力が弱いと模様が薄くなり、他の模様と同じ力具合でないと深みにムラができてしまうので加減が難しいです。
デザインが完成しました。絵柄を並べてデザインを作っていくのはアート感覚で楽しいです。刻印棒の絵柄はさまざまで組み合わせも無限なので絵心がなくても安心。小さい刻印棒は力が入りやすく模様が濃くなってしまいました。
好きな色で着色&仕上げ
作品のイメージや雰囲気に合わせて好きな色を選んで色付けします。革を湿らせてから水で薄めて色を重ね塗りするとむらなく染まります。レザーの染料というと茶系や赤系が多いイメージですがピンクや黄色など明るいカラーもあります。
一見レザーとの相性も合わなそうに見えますが、レザー専用なので不思議と馴染み、奥ゆきのある作品に仕上がります。
次にレザーコート(アクリル系仕上剤)革の風合いを生かした柔らかな光沢に仕上がります。水溶性で、シンナー類を含みません。カーゼに含ませてポンポンと軽くのせていくとムラなく刻印の溝にたまりにくいです。
ビビットなピンク(牡丹)で色付け。レザーコートが乾いたら完成です。好きな色のひもをつけてチャームができました。
ワークショップ体験は会話も楽しみながらリラックスして作成できます。革についての雑学もうかがい、レザークラフトの理解が深まりました。
便利なキットも
材料をすべてそろえるのは大変ですね。まずは試してみたい人はあらかじめレザーがカットされ金具もついたキットもおすすめです。ある程度フォルムが決まっており失敗しないので初心者も挑戦しやすいです。
キー金具のほか、かがりひも、ホック、説明書付です。キットは工程が決まっており、入手しにくい材料もそろっていますので安心してはじめられます。
【まとめ】色やデザインを好みに決められるレザークラフト
レザークラフトは完成までの行程を一つ一つ楽しみながら自分好みの作品が作れるのがいいですね。作った作品は愛着が湧きますので、使う楽しみができます。心のこもったプレゼントにも良さそうです。ぜひ手軽にはじめてみましょう。