奥が深い、ホルベインのメディウム。アクリル絵具のさまざまな表現をサポートしてくれます。それでは前編に続き、下地処理や仕上げ用のメディウムなど、Q &A形式で詳しくみていきたいと思います。
効果的な下地処理(プライマー)をしたい
Q:下地用のプライマーは1種類じゃないの?
A:下地の素材によって3種類に分かれるよ。水溶性か油性、水分を吸うか吸わないかなど、素材の種類でプライマーを選んでね
アクリリックカラーは定着性にすぐれていますが、表面の状態によっては下地処理が必要です。下地処理で使用する材料をプライマーと呼びます。
ヤニ止めシーラー(水溶性)
主に木材の表面に塗布し、ヤニやアクの染み出しを抑える透明下地の処理剤です。ヤニによる作品の変色などを防ぎます。水彩画、日本画の水張りにも利用OK。和紙など薄い紙の場合は、着色した樹脂が透けて見える可能性があります。その他にコンクリートのアルカリ止めにも使用できます。
金属・ガラス用プライマー(油性)
金属やガラス、プラスチックなど、水分を吸い込まない素材で固着性を高めます。
吸収性素材用プライマー(水性)
ケイカル板や石膏ボードなど、表面が脆く、粉がつくような吸水性のある素材に適した下地処理剤です。あらかじめ使用しておくことで素材を固めて頑丈にし、アクリル絵具の吸い込みを抑えながら固着性を高めてくれます。
光沢の調整をしたい
Q:画面の光沢を消すにはどんなメディウムがあるの?
A:つや消し用の「マットメディウム」があるよ
マットメディウム(つや消しメディウム)
アクリリックカラーに混ぜて使うと混ぜて描くと、乾燥とともに光沢が消えます。色の深みや透明度、流動性は高まります。
反対につやを出したいときは「グロスメディウム」があるね
グロスメディウム(つや出しメディウム)
アクリリックカラーに混ぜて使うと、つやと透明感、色の深みが増します。
絵具の流動性も高まるので、薄く絵具を重ねて塗っていくグレーズ技法や、接着力を利用したコラージュにも最適です。
盛り上げ・厚塗りをしたい
Q:光沢を高めて盛り上げてくれるジェルメディウムは?
A:ジェルメディウムは厚い光沢ガラスのような透明膜ね。盛り上げタッチのほかにコラージュ技法もOKよ
ジェルメディウム
ジェルメディウムはほかに5種類以上もあります。
・ジェルメディウム マット…つや消しタイプ。すりガラスのような半透明の皮膜に。
・ジェルメディウム ハード…表面のべたつきが小さく、ほこりがつきにくい仕上がりに
・ジェルメディウム ハイ ソリッド…乾燥後もエッジが残り、より立体的ある盛り上げに
・ジェル メディウム ソフトボディ…低粘性タイプで粘度がゆるく、なめらかな感触
・ジェル メディウム ヘビ-ボディ…高粘性タイプで盛り上がり、エッジある立体的な表現に
完成後に画面保護(ワニス)をしたい
Q:画面を保護するメディウムにはどんな役割があるの?
A:作品の汚れや劣化を避けながら、良好な状態を長く保存してくれるよ。耐水性や耐光性に優れているから丈夫で変色の少ない塗膜をつくるの
筆を使用するクリスタルバーニッシュもありますが、均一に画面を塗布しやすいスプレータイプがあります。筆を使わずムラなく塗りやすいので、初心者はこちらもおすすめです。保画面のつや感は3種類に分かれます。
グロスバーニッシュ(つや出し用)
油性タイプで耐水性に優れたクリアなバーニッシュ。つややかな光沢感です。日光、湿気、ほこりから作品を守るので、野外の壁画などにも使用可能。
マットバーニッシュ(つや消し用)
描いた画面をコートするスプレーです。オイルパステル、ソフトパステル、木炭などでも使用可能。
サテンバーニッシュ(半つや画面用)
サテン地のような落ち着いた半ツヤの画面を作り、日光、湿気、ほこりから作品を守ります。塗布後数年たっても、ペトロールやテレピン油で落とすことができます。
それぞれのワニスの使用感についてホルベインの公式動画で分かりやすく説明しています。正しい使用方法で、丁寧に仕上げることが大事ですね。
まとめ
アクリル画のメディウムは種類が多くて迷いますが、イメージする表現にぴったりのものが必ずあるはずです。メディウムは常に進化し続けていますから、チェックしてみてくださいね。