こんにちは。
絵の具はどんな風に作られているのか、みなさんご存知ですか?
どんな材料で作られている?
どんなところで作られている?
どんな流れで作られる?
いろんな疑問が湧きますね。そんな絵の具の謎を解決すべく、絵の具メーカーでおなじみのクサカベさんの工場見学に行ってきました。工場見学では絵の具の知識など説明を受けた後、実際に製造現場を見学できます。さらにその後は絵の具作り体験もできますよ。
遠方でなかなか行けない!という人は、参考にしてみてくださいね。
クサカベとは
老舗画材メーカーのクサカベは油絵具の誕生からはじまり、メディウムや水彩絵の具など、高品質な画材を幅広く扱っています。
最近ではマカロン固形水彩絵具やハルモニア水彩絵具など、独自の技術で開発した商品などが話題となっており、新たな挑戦や斬新な技術は目まぐるしいものがありますね。
今回参加したイベント
クサカベの工場見学。HPで募集されていますが、告知後すぐに埋まってしまうので要注意です。
絵具のお話、映像鑑賞、絵具製造工程の見学、質疑応答などもできますし、参加費ば無料でした。ただ、絵具作りで材料費がかかるので概要は事前に確認しましょう。
子ども参加できるイベントもありますが、今回参加したイベントは参加者は全員大人。やはりアート好きの独特の雰囲気の方が多い感じです。普段見ることのできない非日常の世界に大人でもはしゃいだり夢中になってしまうのではないでしょうか。
海外の子どもたちが描いた作品展示販売のコーナーもありました。世界にアートを広げる、こうした取り組みをやっているんだなと理解が深まりました。
工場に到着
今回お邪魔したのは埼玉県朝霞市にある本社工場です。工場に着いたら技術開発部の方に絵の具のお話を聞くことができました。クサカベの会社のお話や、絵の具ができる工程の映像を見せてくれました。
絵の具の知識を深め、見学の際の注意事項を聞いたら、次は工場見学へ。
工場見学スタート
工場内は絵の具の工場らしい顔料のような油のような匂いに囲まれますが、それもまた雰囲気が出ています。取り扱う顔料は日ごとに違うので、匂いも違ってくるとのことでした。
材料を混ぜ合わせるミキサー
見学したのは油彩絵の具の工程です。顔料の前にミキサーで体質顔料を作り、それが出来たら顔料と乾性油さらに助剤を機械で混ぜ合わせています。ポンプでまぜる時に空気を抜くので、絵の具がめらかな仕上がりに。
一見出来上がりのようですが、完成まではまだまだです!
こちらの白い粉は、ステアリン酸と呼ばれる植物性由来の助剤です。顔料の分離を防ぎ、品質を保ちます。日用品や化粧品などにも使われている、身近な粉です。
絵の具を練り上げるロール
三本ロールミルという機械で練り上げます。顔料の塊がバラバラにほぐれ、油と均一に練り合わされることで、滑らかでツヤのある絵の具が出来上がるのです。
こんなに大量の絵の具を見たことがありません。。とても迫力があります。
ロールミルの種類はたくさんあり、鉄やセラミックなど、顔料の硬さによって使い分けているそう。ロールミルでの作業を3〜4回行い、水分量や隙間の調整など微妙な調整を行うのも職人のなせる技です。
品質チェック
安定した品質を保つために出来上がった絵の具を毎回チェックします。色や固さ、粒子の大きさなどを目で確認し、絵の具をのばしてのび具合もチェック。また、機械で数値のチェックも。
見本と並べて比べ、違いが見つかったものは不合格です。不合格の絵の具は捨てずに顔料の水分量やレシピを確認し、基準に合格したものだけ製品化します。
ここでハルモニアのような分離絵の具の工程は特殊なのかと質問が。
製作工程は他の絵の具と同じですが、分離顔料ですから細かく計算されたレシピがあり、顔料の性質や配分に相当こだわって完成されたそう。
1色の顔料よりも2色以上混ざった絵の具の方が顔料の粒の大きさや特徴が異なるので出来上がりが難しいようです。
熟成させる
より美しい発色のためには絵の具を缶に詰めて1週間から1ヶ月ほどねかせます。熟成させることで原料同士が馴染み、絵の具の風合いがさらに増します。
チューブにつめる
自動充填機でチューブに詰めます。その後にラベラー機でラベル貼りし、箱詰めされます。
キャップ側が下になっており、おしりの部分が開いている状態で中の絵の具が見えます。一日でチューブは600本作られるそうです。
充填機コーナーは「シュポ」「カシャン」とテンポのいい音が出ています。
カラーごとに自動充填機の掃除を丁寧にしたり、機械や詰める量に問題はないかマメにチェックしています。
重量センサーなど機械のオートメーション化で調整が便利になりましたが、常に人の手が必要で、目視での確認作業は欠かせません。
完成!
こうして手間ひまかけられて、完成です!受付後に通された部屋には、最新の商品から人気シリーズまでずらりと置いてありました。ちなみに商品によって割引価格で購入できます。
これで、工場見学は終了です。部屋に展示してある貴重な資料や作品なども珍しく色々見学できてそれも楽しかったです!
【感想】当たり前の絵の具のありがたみに気づく
私たちに届く絵の具は工場の人が大切に大切に、気持ちを込めて見えないところまで神経を使って作っています。当たり前のように使う絵の具が、細やかな工程で作られていることが分かりました!
一滴一滴大切に使わなければ。クサカベさん、温かいご対応をありがとうございました。