墨をベースに、顔料と調合して作られた絵墨はみなさんご存知ですか?墨のもつ淡い明度と、有彩色の美しさが混ざり合い、儚げな色合いを表現できます。水彩画のような使い方で、水墨画、淡彩画、身近なイラストにも気軽に表現できるようになりました。今回は絵墨淡の特徴と使い方をお伝えしたいと思います!
墨運堂の絵墨淡って?
絵墨淡は墨・書画用品の老舗メーカー「墨運堂」独自の技術から生まれた絵具です。色相・明度・彩度・表現性にこだわり開発されました。
淡い彩度の中に仄暗(ほのぐら)さを感じさせる儚げな色彩の世界は、顔彩と同じように使え、初心者からプロまで幅広い層に、濃淡による色の変化や分離などの表現が楽しめます。
好みや表現したいものによってぴったりのものを選びたいね
黒を混ぜた色と違うの?
顔料の黒と、墨の黒は粒子や素材の特徴が異なる別物です。メーカーによって質感の違いはありますが、黒の顔料を混ぜて絶妙なくすみカラーを作り出すのは結構難しいものです。混ぜる量を調整する必要がなく、同じくらいのトーンのカラーが揃っているのは便利です。
カラーの種類は?
カラーは全部で
・黄柚子淡 (キユズタン)
・蓬淡 (ヨモギタン)
・浅葱淡 (アサギタン)
・菖蒲淡 (アヤメタン)
・小豆淡 (アズキタン)
の6種類です。奥ゆかしい和名も素敵です。色は暗すぎず、パステルが少し入ったような深みがあります。絵墨淡のキャッチコピー通り「ほの暗い」感じでやや灰色がかった明るいくすみのカラーです。
さっそく使ってみた
それでは、試しに使ってみたいと思います。固形水彩のように使えるので、パレットは不要で用意するのは水と紙、筆のみです。
試し塗り
絵の具は水溶けがよく、軽い質感です。水彩絵の具のようにたっぷりめの水でも表現しやすそうです。成分が墨なのでとてもサラサラしていて紙への吸収も抜群。確かに墨は粒子が細かいので色彩としても適しています。
各カラーを試し塗りしてみました。水でのばすと顔料と墨の分離がしやすいのかな?と思いきや細かく濃淡を調整でき、グラデーションやにじみで美しい広がりを見せてくれます。
原色に比べ、淡めのカラーはほっこり落ち着きます。風景画や、身近な彩色にそのまま利用しやすそう。
混色してみた
単色を混色してみると、どのような色になるでしょうか。試しに紙の上で混ぜてみました。
黄柚子淡と浅葱淡のカラーを混ぜてみました。混色はカラーの分量によるのかもしれませんが混ぜやすいです。くすみ感は抜けませんが、想像した感じのカラーが出来上がります。
個人的には混色しない方がカラーの魅力が出せる気がします。同じトーンのカラーを作るのは難しいですね。
他の色も混ぜてみました。こちらは小梅淡と菖蒲淡。筆者の力不足なのか微妙な色合いに見えます。プロが色相や明度を計算して生まれたカラーなので、混色は簡単なようで難しいという結論になりました。
混色できなくても、水彩絵の具などと合わせて使いやすそうです。水彩絵の具と使用感が似ているので、一緒に使うとカラーの引き出しが増えそうです。
【まとめ】くすみカラーで奥ゆかしい表現を
水の量次第でさまざまな表情を見せてくれる絵墨淡、落ち着いたアンティークな雰囲気に癒されます。絵墨は明るい色から渋い色まで、さまざまな発色のシリーズがあるので好みを見つけましょう。絵の具の種類にとらわれず、自由な発想で墨ベースならではの渋みと美しい色彩を楽しみましょう。